クラシック音楽初心者の方向けにプロの演奏家が時代ごとにおすすめの名曲を厳選してご紹介します。
時代ごとに紹介することによって気に入った時代も見つかると思います。曲がイメージしやすいように一言解説を添えました。
ピアノやオーケストラの名曲を毎日少しずつ聴いてみてはいかがでしょうか。
◆クラシック音楽の時代ごとの特徴
バロック時代
バロック音楽の特徴は教会で演奏されることが多かったため音楽に祈りのような宗教的な要素が強いということです。また貴族のためのBGM的な曲も多くあります。日本ではまだ戦国時代の終わり頃から江戸時代初期です。
(約1600年〜1750年) 1〜9番
古典派
古典派音楽の特徴は端的に言うとモーツァルトのような凛としたスッキリとした感じの曲が多いことです。
バロックと比べると宗教的な要素はかなり減ってきています。日本では江戸時代です。
(約1730年〜1820年) 10〜18番
ロマン派
ロマン派音楽の特徴は名前の通りとてもロマンチックであるということです。現実には起こり得ないようなことを想像して音楽にしたファンタジーあふれる時代です。日本ではまだ江戸時代です。
(約1800年〜1900年) 19〜52番
近代音楽
近代音楽の特徴はロマン派のどこかフワッとした感じと比べて鋭い感じのものが多いことです(フランスの作曲家などは別ですが)。
ただ、ここで紹介している曲はロマン派と時代が被っている作曲家も多いので、とてもロマンチックなものが多いです。
映画に使われるような音楽も多いのが特徴的です。日本では明治から昭和にかけての頃ですね。
(約1900年〜1950年) 53〜60番
それでは紹介して行きます。
◆クラシック音楽 : バロックの名曲
J.S.バッハ
1. 主よ、人の望みの喜び
とにかく聴けばわかるクラシックの定番です。卒業式の入場曲などによく用いられます。
実際はがっつりとした宗教曲で以下のような歌詞になっています。
主(イエス・キリスト)は変わらざる私の喜び 私の心の慰めであり 潤い
主はすべての悲しみから守ってくださる 主は私の命の力 目の歓びにして太陽 魂の宝であり 歓喜 だから主を放しません この心と視界から
2. G線上のアリア
これも卒業式などで流れる定番中の定番ですね。G線上のアリアと言いますが、実際はバッハが作曲した管弦楽組曲第3番BWV1068の2曲目「アリア」を、1800年代に活躍したヴァイオリニスト“ヴィルヘルミ“という方がピアノ伴奏付きのヴァイオリン独奏に編曲したものです。彼はヴァイオリンの弦のうち一番低いG線だけで弾けるように編曲したため、G線上のアリアと呼ばれるようになりました。
3. ゴルトベルク変奏曲
この曲は一説によるとなんと不眠症の伯爵のために、眠くなるための音楽として作曲されました。真偽は定かではありませんが、実際聴いてみるととてもリラックスしてきて眠くなります。。
4. シャコンヌ
これも言わずと知れたクラシック音楽の名曲中の名曲でピアノ用など色んな楽器のために編曲されています。元々はヴァイオリンの無伴奏パルティータの第2番の終曲としてかかれた曲です。
ヨハン・パッヘルベル
5. カノン
これもバッハに続いて卒業式などでよく聴かれる曲ですね。卒業式は厳粛な雰囲気のため、バロック時代の宗教音楽がよく合うみたいですね。正式には”3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグニ長調”といいます。
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
6. ハレルヤ
ハレルヤという歌うのがとても有名なこの曲ですが正式にはヘンデルが作曲したオラトリオ”メサイア(救世主) HWV.56 “といい、第2部の終曲にこのハレルヤコーラスがやってきます。実際のこの曲の中身はイエス・キリストの生涯を題材とした歌詞を聖書から引用しています。こう考えるとバロックの名曲はほとんどイエス・キリストと強く結びついていますね。
7. 水上の音楽
この曲は格付けチェックなどでよく使われるので一度は聴いたことあると思います。ヘンデルがイギリス王の舟遊びの際に演奏させる曲として書かれた大変優雅な曲です。実際に舟遊びの際に3度演奏させたそうです。
アントニオ・ヴィヴァルディ
8. 四季より夏
この曲は正式にはヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」作品8といいます。その中の1〜4曲目が春、夏、秋、冬と名付けられていてそれぞれに季節に応じた詩が付けられています。一般的に4曲をまとめて四季と呼びます。この夏においては一楽章では夏の暑さでぐったりしていたり、有名な2楽章では稲妻や雷鳴が表現されていて、ハエなどの音までもが表現されています。
9. 四季より冬 第二楽章
こちらは冬の寒い時に暖炉の火にあたってほんわかしているときの様子を表した曲でとても優しくて豊かな感じがします。
◆クラシック音楽 : 古典派の名曲
ヨーゼフ・ハイドン
10. 弦楽四重奏曲第77番(皇帝)より第2楽章
数多くの弦楽四重奏曲や交響曲を書いたハイドンは弦楽四重奏曲の父や交響曲の父と呼ばれています。そんな彼の書いた77曲目!の弦楽四重奏曲第2楽章はとても美しく、現在ドイツ国歌として歌われています。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
11. アイネ クライネ ナハトムジーク(Eine kleine Nachtmusik)
モーツァルトの曲の中でも最も有名な作品の一つに入るこの曲の意味はドイツ語で、”小さな夜の音楽”という意味です。一楽章の冒頭は1983年発売のマリオブラザーズのゲーム開始BGMとして使用されて、三楽章は東武東上線池袋駅の3.4番線発車メロディに使用されています。
12. クラリネット協奏曲より第二楽章
モーツァルトが死ぬ数ヶ月前に書いた最後の協奏曲でとりわけこの二楽章は天井の音楽のような心地よさがあります。色々なリラックス系の音源にも入っています。
他の楽章も大変美しいのでぜひ聴いてみてください。
13. ピアノ協奏曲23番
1786年に作曲されたこの曲は古典派時代の最高峰のピアノ協奏曲の一つとして知られ、とても優雅で美しいです。
14. キラキラ星変奏曲
有名なきらきら星のテーマを基にモーツァルトが書いた変奏曲です。一つのテーマが色々な形に変わっていくのがおもしろいと思います。
15. フィガロの結婚 序曲
フィガロの結婚というオペラの一番始めに演奏される曲(序曲)で出だしからワクワクします!
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
16. 交響曲第5番 運命
タタタターーーンで言わずと知れた運命です。出だしだけがあまりにも有名ですが実際には30分近くある曲で出だしだけではなく全体的に素晴らしい曲なのでぜひ一度全部聴いてみてください。
ちなみにベートーヴェン自身は運命と名付けておらず、日本以外ではほとんど運命とは呼びません。
17. 交響曲第9番 (合唱付き)
第九の名前で日本の年末によく演奏される曲です。合唱や独唱が入る有名なのは4楽章からですが、1〜3楽章も素晴らしく、天上の世界を感じられる3楽章なんかをぜひ聴いていただきたいです。
18. エリーゼのために
エリーゼというベートーヴェンが恋した女性に対して書かれたといわれる曲で、ピアノを始めた方が初めの頃によく弾く曲で、ピアノを習ったことがある方なら多くの方が弾いたことがあるのではないでしょうか。
◆クラシック音楽 : ロマン派の名曲
ジュゼッペ・ヴェルディ
19. レクイエム 怒りの日
映画やテレビやドラマでよく耳にするこの曲。実際はカトリックのミサ曲でレクイエム(鎮魂歌)なんです。しかもモーツァルトやフォーレのレクイエムとともに三大レクイエムに数えられる作品です。もし興味が沸いたら他の部分も聴いてみたらおもしろいかも知れませんね。
20. オペラ「ナブッコ」より 行け、我が思いよ、黄金の翼に乗って
オペラ「ナブッコ」の3幕の中に出てくる合唱でイタリアにおいては、第二の国家的な位置づけされる程有名な旋律です。
21. オペラ「椿姫」より 乾杯の歌
ヴェルディの代表作椿姫の中の一曲で、聴いてたらとにかくハッピーでうきうきした気分になれます。
ジョルジュ・ビゼー
22.オペラ「カルメン」より ハバネラ
オペラ「カルメン」の中で歌われるアリアで、主人公のジプシーの女カルメンが恋について歌う歌です。とても俗っぽい感じでバロック、古典派の音楽とは雰囲気が大きく変わってきています。
23. アルルの女より ファランドール
ビゼーの作品の中でカルメンに並んで有名な曲で全27曲あります。
ファランドールは第2組曲の曲です。
ジャック・オッフェンバック
24. 喜歌劇 天国と地獄
運動会で使われることが大変多い曲です。思わず走りたくなりますね。笑
エドワード・エルガー
25. 威風堂々
アニメ「あたしンち」で替え歌みたいに使われてました。原曲は歌詞はなく管弦楽のための行進曲です。
26. 愛の挨拶
エルガーが婚約の際に奥さんに送ったとても愛らしく素敵な曲です。
ピョートル・チャイコフスキー
27. バレエ くるみ割り人形より花のワルツ
バレエ音楽の中の一曲でこの曲を演奏しながらバレリーナが踊ります。とても優雅な曲です。
28. バレエ 白鳥の湖
バレエ音楽です。どの曲をとってもとても美しいのでバレエと一緒に見てみてください。音楽はストーリーに沿って進行していきます。
29. 弦楽セレナード
出だしが特に有名なこの曲ですが、実は出だし以外もとても深くて素晴らしいです。弦楽器だけの編成による特有の響きをお楽しみください。
30. 弦楽四重奏曲第1番 第二楽章よりアンダンテカンタービレ
先程の曲は弦楽器だけでの合奏曲でしたがこちらはたった4人だけで演奏する曲です。弦楽器四重奏曲1番の二楽章ですがあまりにも美しいのでよくこの楽章だけでも演奏されます。
ベドルジハ・スメタナ
31. 我が祖国より モルダウ
連作交響詩「我が祖国」の中の一曲でモルダウという実際にある川の流れを描写しています。聴いてると大きな川が目に浮かぶようです。
フランツ・シューベルト
32. 魔王
歌曲の王として呼ばれるシューベルトの歌曲の中でも、最も有名な作品の一つで、ゲーテの詩に基づいて作られています。
33. 野ばら
音楽の時間に習った人も多いと思います。こちらも実はゲーテの詩に基づいて作曲されています。シューベルト以外にも同じ詩でベートーベンなど多くの作曲家により作曲されています。
エドヴァルド・グリーグ
34. ペールギュントより朝
イプセンという人の戯曲に劇音楽を作曲したものです。
この曲を朝聴くとさわやかな気分で1日を始められます。
ヨハン・シュトラウス1世
35. ラデツキー行進曲
ウィーン・フィルのニューイヤーコンサーで必ずやる曲で途中から指揮者がお客さんの方を向いて指揮をし、お客さんが手拍子をするのが定番になっています。
ヨハン・シュトラウス2世
36. 美しき青きドナウ
ヨハン・シュトラウス1世の長男で親子揃ってうきうきする曲をたくさん書いています。この曲もニューイヤーコンサートの定番曲となっています。
フランツ・リスト
37. ラ・カンパネラ
ピアノで演奏されることで有名なこの曲ですが、実はパガニーニというヴァイオリニストの曲をリストがピアノ用に編曲したものです。ヴァイオリン協奏曲第二番の三楽章からなのでヴァイオリンの原曲と聴き比べてみるのもおもしろいかもしれません。
フレデリック・ショパン
38. ノクターン2番
夜想曲と日本語では書かれるノクターン全21曲の中でも恐らく一番有名な曲です。
ホロヴィッツの演奏がまた味わい深いです。様々な映画などにも使われています。
39. ノクターン 21番遺作
ノクターン最後の曲で、晩年に書かれました。悲しい感じが深く心に響きます。
40. 練習曲作品10第3番より 別れの曲
別れの曲という名前で有名ですが、1934年のドイツ映画「別れの曲」でこの曲がテーマとなって物語が広がっていったため、この曲が別れの曲という愛称で親しまれています。いずれにせよですね。
41. 練習曲作品10より12番 革命
ロシアによるポーランド侵攻と同じ時期に発表された曲です。革命という言葉にあうような怒りのような感情がよく表現されています。
42. 24の前奏曲より第15番 雨だれ
曲名の通り、雨だれの描写が美しくも憂いを帯びた旋律がピアノによって奏でられます。
43. ワルツ第6番 子犬のワルツ
恋人が飼っていた子犬が自分の尻尾を追いかけ回すくせがあり、それを描写したかわいい曲です。
アントニン・ドヴォルザーク
44. 交響曲第9番「新世界」より 第2楽章
遠き山に日は落ちて、の原曲です。なんだか懐かしい気分になります。
45. 同 4楽章
出だしが映画「ジョーズ」のトゥールンというのにそっくりです。
ですが44と同じ交響曲9番の第4楽章です。
46. チェロ協奏曲
チェロの協奏曲の中で圧倒的に人気で有名な曲です。土臭くてとても良いです。
リヒャルト・ワーグナー
47. オペラ「ローエングリン」より 婚礼の合唱
結婚式にもよく使われ、オペラの婚礼の合唱として有名なこの曲ですが、オペラ自体は最後は悲劇的な終わり方をしてしまうので美しくてもあまり結婚式にはよくないかもしれませんね。
ジャコモ・プッチーニ
48. オペラ「トゥーランドット」より”誰も寝てはならぬ”
フィギュアスケート荒川静香さんがトリノオリンピックで演じた際に使われたことで有名な曲です。このオペラはプッチーニ最後のオペラで未完成のまま終わってしまったので、オペラの終盤は弟子が書き足したものが演奏されます。
パブロ・デ・サラサーテ
49. ツィゴイネルワイゼン
出だしだけは必ず聴いたことあると思います。しょっちゅうCMやドラマなどテレビで使われています。出だし以外も切なく美しいので是非聴いてみてください。
ちなみにツィゴイネルワイゼンとはジプシーの旋律という意味です。
ヨハネス・ブラームス
50. ハンガリー舞曲第5番
この曲はツィゴイネルワイゼンに続いてジプシー音楽からブラームスが編曲(作曲)した曲です。どこかで聴いたことあるような気がすると思います。
ピエトロ・マスカーニ
51. カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲
ゴッドファーザーⅢでも使用されていた有名な曲です。
オペラの中で、複雑な事情がある女の人がある秘密を暴露してしまい、それをなんてことをしてしまったんだと自分で後悔したあとに流れるとにかく感動的な曲です。
グスターヴ・ホルスト
52.惑星よりジュピター
平原綾香さんが日本語の歌詞をつけてカバーして有名な曲の原曲です。惑星という組曲の中の一つですので他の星の曲もあります。興味が湧いたら聴いてみてもおもしろいかもしれないですね。
◆クラシック音楽 : 近代音楽の名曲
リヒャルト・シュトラウス
53. 交響詩「ツァラストラはかく語りき」
出だしが映画「2001年宇宙の旅」で使われてめちゃくちゃ有名ですね。ですが曲全体は意外と長いです。笑
セルゲイ・ラフマニノフ
54. ピアノ協奏曲第2番
のだめカンタービレで使われたとても有名な曲ですね。スランプが原因のノイローゼから立ち直るためのカウンセリングを受けていたラフマニノフはこの曲を書いて立ち直ります。
その深い苦悩や悲しみが聴こえてくる名作です。
55. ヴァカリーゼ
とても切ないです。とても美しい曲なのでいろんな楽器で演奏されます。
グスタフ・マーラー
56. 交響曲第5番より第4楽章
動画の夕暮れがとても似合う、穏やかな、でもどこか切ない気分になれる曲です。とにかく落ち着きます。
セルゲイ・プロコフィエフ
57. バレエ音楽 ロメオとジュリエットより「モンタギュー家とキュピレット家」
ソフトバンクのCMでおなじみの曲ですね。実はバレエ音楽の中の曲でこの曲を演奏しながらバレリーナが華麗に踊ります。
ドミトーリイ・ショスタコーヴィチ
58. 交響曲第5番より第4楽章
ソ連の支配下の中、政府の意向に沿った曲を書かなければならなかったショスタコーヴィチはこの曲を書きました。表向きはソ連の意向に沿った曲でしたが、よくよくみるとショスタコーヴィチの反抗の意思がしっかりと現れている曲です。
クロード・ドビュッシー
59.月の光
余計な解説はいらないと思います。ただただ月の光が色々な表情を見せてくれます。
カール・オルフ
60.カルミナ・ブラーナ
ドラマ「相棒」などで有名な曲ですね。出だしからすごいインパクトです。冒頭しか知らない人が多いと思いますがこの曲も実は一時間近くもあります。
◆まとめ
いかがだったでしょうか。癒される曲、奮い立つ曲など本当に色々なタイプの名曲がありますね。こうしてみると有名な曲は圧倒的にロマン派が多いんですね。
今回紹介した曲はクラシック音楽の膨大な名曲の中のほんの一握りですが、好きな曲が1曲でも見つかってくれたら嬉しいです。
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