ドイツ移住の初期費用と1ヶ月の生活費はいくら?単身・夫婦のリアルな家計簿を公開【物価高対応】

ドイツ移住の初期費用と1ヶ月の生活費はいくら?単身・夫婦 海外生活のお金

2026年、憧れのドイツ生活をスタートさせるにあたり、避けて通れないのがお金の問題です。数年前から続く歴史的な円安(1ユーロ=約180円前後)と、ドイツ国内のインフレは、今や一時的なものではなく、移住者が直面するニューノーマルとなりました。

日本円で貯金をしてドイツへ渡る場合、かつての感覚と比較して約1.5倍から2倍の資金が必要と言われています。ネット上に残る2020年頃の古い情報を信じて渡航すると、資金ショートを起こしかねません。

本記事では、1ユーロ=180円という現在のレートを前提に、2026年1月時点のリアルな物価感覚に基づいた初期費用と、単身・夫婦それぞれの1ヶ月の生活費シミュレーションを公開します。これからドイツ生活を始めるあなたが、現地で路頭に迷わないための完全予算ガイドです。

ドイツ移住にかかる初期費用:渡航から入居まで

まずは、ドイツに到着し、生活の基盤となる家を借りて落ち着くまでに必要なスタートアップ費用を見ていきましょう。多くの人が想定しているよりも、ドイツの初期費用は高額になりがちです。

航空券とビザ関連費用

渡航時期にもよりますが、日本からドイツへの直行便(JAL/ANA/ルフトハンザ)は燃料サーチャージ込みで往復25万〜35万円(約1,400〜1,900ユーロ)が相場です。経由便を使えば少し抑えられますが、荷物が多い移住時はロストバゲージのリスクが低い直行便が推奨されます。

また、現地で滞在許可(ビザ)を申請する場合、申請手数料として約100〜113ユーロ(約20,000円前後)がかかります。これは現金やECカードで外国人局にて支払います。

賃貸契約の初期費用:敷金(Kaution)の重み

ドイツでアパートを借りる際、最も大きな出費となるのがカウツィオン(Kaution)と呼ばれる敷金です。法的に家賃(共益費を含まないKaltmiete)の3ヶ月分が上限とされており、ほとんどの大家が上限いっぱいの3ヶ月分を請求します。

例えば、家賃900ユーロの物件であれば、2,700ユーロ(約48万6,000円)を契約時または入居開始時に支払う必要があります。これは退去時に修繕費等を差し引いて返還されますが、初期キャッシュフローとしては非常に大きな負担です。

 

日本人が驚愕するキッチンのない家問題

ドイツの賃貸物件の最大の特徴であり、日本人を最も困惑させるのが、多くの物件においてキッチンがついていない(Einbaukücheがない)という点です。シンクもコンロもなく、壁から配線と配管が飛び出しているだけの空箱状態で貸し出されることが一般的です。

この場合、自分でIKEAなどでキッチンセットを購入し、業者に頼んで設置しなければなりません。

新品購入と設置工事費:2,500〜5,000ユーロ(約45万〜90万円)

前住人からの買い取り(Übernahme):800〜2,500ユーロ(約14万〜45万円)

キッチン付き物件(EBKあり)を探すことも可能ですが、家賃が割高になるか、競争率が極めて激しくなります。初期費用には、このキッチン代を予備費として必ず計上しておくべきです。

 

家具・家電と一時滞在費

ドイツの賃貸は基本的に家具なしです。ベッド、洗濯機、冷蔵庫、照明器具(電球ソケットさえない場合が多いです)を揃える必要があります。最低限で揃えても2,000ユーロ前後は見ておくべきでしょう。

また、家が見つかるまでの間の短期滞在アパートやホテル代も馬鹿になりません。家探しが難航する都市部では、1〜2ヶ月分の短期滞在費(2,500ユーロ〜)も準備金として必要です。

 

初期費用合計シミュレーション(単身者の目安)

航空券・移動費:1,600ユーロ

当面のホテル代(1ヶ月):1,800ユーロ

敷金(3ヶ月分):2,700ユーロ

家具・家電・キッチン:3,500ユーロ

初月家賃・生活費:1,600ユーロ

合計:11,200ユーロ(約201万円)

余裕を持って、単身でも250万円、夫婦なら350万円から400万円程度の日本円貯金を用意して渡航するのが安全圏と言えます。

 

1ヶ月の生活費内訳:インフレ下のリアルな物価

次に、毎月かかるランニングコストを費目別に解説します。

家賃(Warmmiete)と光熱費の仕組み

ドイツの家賃表示には2種類あります。

Kaltmiete(直訳 : 冷たい家賃):部屋代のみ

Warmmiete(直訳 : 温かい家賃):部屋代+共益費(管理費、水、暖房、ゴミ処理代など)

毎月大家に支払うのはWarmmieteですが、ここには電気が含まれていないことがほとんどです。また、エネルギー価格の高止まりにより、Warmmieteに含まれる暖房費の見積もりが甘く、年末に多額の追加請求(Nachzahlung)が来るケースがいまだに多発しています。

エリアによりますが、単身用の1ルーム〜1LDKで都市部ならWarmmieteで900〜1,300ユーロ、夫婦用の2LDKなら1,400〜2,000ユーロが2026年の相場感です。ミュンヘンやフランクフルト中心部ではさらに+30%と考えてください。

 

食費・日用品:スーパーの価格上昇

ドイツはかつて食品が安い国と言われていましたが、インフレで様変わりしました。

牛乳(1L):1.10〜1.30ユーロ(約200〜230円)

卵(10個):2.50〜3.50ユーロ(約450〜630円)

バター(250g):2.50〜3.50ユーロ(約450〜630円)

鶏胸肉(1kg):9.00〜12.00ユーロ(約1,600〜2,100円)

キュウリ(1本):0.80〜1.20ユーロ(約140〜210円)

外食はさらに高騰しており、ランチで18〜25ユーロ(約3,200〜4,500円)、ディナーなら飲み物込みで40〜60ユーロは当たり前です。かつて貧乏学生の味方だったドネルケバブも、今や8〜9ユーロ(約1,440〜1,620円)が標準価格です。

 

健康保険料:高額な強制加入

ドイツ居住者は健康保険への加入が義務付けられています。

公的保険(GKV):会社員は給与天引き(約14.6%を労使折半)。自営業者や求職中の場合、最低でも月額約230ユーロ〜(介護保険込)の自己負担が発生します。

私的保険(PKV):駐在員やフリーランスが加入。年齢やプランによりますが、安くても月額350〜550ユーロ程度はかかります。

 

通信費・交通費

インターネット(自宅):月額45〜55ユーロ

スマホ(SIM):月額15〜25ユーロ(大手キャリアだともっと高い)

交通費:ドイチュラントチケット(月額49ユーロ〜58ユーロ程度の変動あり)を購入すれば、ドイツ全土の近距離公共交通機関が乗り放題です。

 

【単身】1ヶ月のリアル家計簿シミュレーション

デュッセルドルフやベルリンなどの大都市で、一人暮らしをする現地採用会社員(手取り2,300ユーロ程度)を想定したモデルケースです。

費目金額(ユーロ)金額(日本円換算)備考
家賃(Warm)€ 950¥ 171,000共益費・暖房費込み
電気代€ 55¥ 9,900別途契約が必要
インターネット€ 45¥ 8,100自宅Wifi
スマホ代€ 20¥ 3,600格安SIM利用
食費(自炊)€ 350¥ 63,000昼はお弁当持参
外食・交際費€ 150¥ 27,000月2-3回程度
日用品€ 40¥ 7,200洗剤、トイレットペーパー等
交通費€ 58¥ 10,440ドイチュラントチケット
放送受信料€ 18.36¥ 3,300必須(Rundfunkbeitrag)
保険(賠償等)€ 10¥ 1,800個人賠償責任保険など
合計€ 1,696¥ 305,280健康保険は給与天引き済みと仮定

解説:

手取りが2,300ユーロあっても、固定費だけで1,700ユーロ近くが消えていきます。日本円換算で約30万円。円安の影響で、日本円の貯金を取り崩して生活する場合、毎月30万円以上の出費となる衝撃的な数字です。

 

【夫婦】1ヶ月のリアル家計簿シミュレーション

共働き、あるいは片方が扶養に入っている夫婦(2人暮らし)のモデルケースです。少し広めの2LDK(約60〜70平米)を想定しています。

費目金額(ユーロ)金額(日本円換算)備考
家賃(Warm)€ 1,500¥ 270,0002LDK・都市部
電気代€ 90¥ 16,2002人分
インターネット€ 50¥ 9,000高速回線
スマホ代€ 40¥ 7,2002人分
食費(自炊)€ 550¥ 99,000週末は少し良い食材を
外食・交際費€ 250¥ 45,000月2回程度のディナー
日用品€ 60¥ 10,800
交通費€ 116¥ 20,880チケット×2名
放送受信料€ 18.36¥ 3,3001世帯につき1契約
雑費・予備費€ 150¥ 27,000被服費や医療費など
合計€ 2,824¥ 508,320

解説:

夫婦で生活する場合、最低でも月2,800ユーロ(約50万円)のコストがかかります。1人が働いて支える場合、税込年収(Brutto)で70,000ユーロ以上ないと、余裕のある生活は難しい計算です。

 

隠れた出費:忘れがちなドイツ特有のコスト

家計簿の項目に入れましたが、日本人が見落としがちな出費について補足します。

放送受信料(Rundfunkbeitrag)

ドイツに住む全世帯に支払い義務がある公共放送の受信料です。テレビやラジオを持っていなくても、住居があるだけで月額18.36ユーロが徴収されます。支払わないと口座差し押さえなどの厳しい措置があるため、必ず払う必要があります。

 

個人賠償責任保険(Haftpflichtversicherung)

ドイツでは、他人の物を壊してしまった時などに備える個人賠償責任保険への加入が常識です。鍵を紛失した場合(アパートの鍵はセキュリティキーで数万円〜数十万円することもある)や、自転車事故などに備えて、月額5〜10ユーロ程度の保険に入っておくことが強く推奨されます。

 

移住仲間たちのリアルな家計簿:3人の体験談

私の周りにいるドイツ在住の友人たちに、実際に住んでみて痛感したお金のリアルを聞いてみました。彼らの失敗談や成功談は、これから渡航する人にとって貴重な教訓になるはずです。

ケース1:ミュンヘン在住・20代単身(学生から就職)

キッチンがない!初期費用で貯金が底をつきました

ミュンヘンで就職が決まり、奇跡的に見つけた家賃1,100ユーロ(約20万円)のアパート。しかし、契約書にサインしてから部屋に入って愕然としました。キッチンが完全に空っぽだったのです。シンクもコンロもなく、壁から管が出ているだけ。

慌ててIKEAで一番安いキッチンセットを注文しましたが、配送と設置工賃を含めて約3,800ユーロ(約68万円)が飛びました。さらに敷金3ヶ月分と初月の家賃、家具の購入で、日本から持ってきた250万円の貯金が入国から2週間でほぼ消滅。

クレジットカードのキャッシング枠でなんとか最初の給料日まで凌ぎましたが、ドイツのキッチンなし物件の恐ろしさを身をもって知りました。これから探す人は、家賃が多少高くてもEinbauküche(キッチン付き)の物件を強くお勧めします。

 

ケース2:デュッセルドルフ在住・30代夫婦(駐在員のち現地採用)

恐怖の年末調整、暖房費で1,200ユーロの追加請求

夫婦2人で2LDKに住んでいます。毎月の家賃(Warmmiete)に暖房費が含まれているので安心しきっていました。冬場は寒いのが苦手で、室内でもTシャツで過ごせるくらい暖房をガンガンつけていたんです。

そして1年後、管理会社から届いたNebenkostenabrechnung(共益費の精算書)を見て血の気が引きました。暖房費の超過分として1,200ユーロ(約21万6,000円)を2週間以内に振り込んでくださいという内容でした。

今のドイツのエネルギー価格は本当に高いです。それ以来、冬はユニクロのウルトラライトダウンを部屋着にして、設定温度を20度に固定しています。毎月の支払額はあくまで見積もりであって、使いすぎれば後で必ず請求されることを忘れないでください。

 

ケース3:ベルリン在住・30代男性(ITエンジニア)

インデックス家賃の罠と、ケバブ指数の上昇

3年前にベルリンに移住しました。当時はベルリンは物価が安いと言われていましたが、今は完全に過去の話です。

私の家賃契約はIndexmiete(インデックス家賃)といって、インフレ率に合わせて毎年自動的に家賃が上がる契約でした。この2年間の激しいインフレで、入居時より家賃が200ユーロ近くも上がってしまいました。

また、生活実感として一番きついのは外食費です。来た当初は4ユーロでお腹いっぱい食べられたドネルケバブが、今は8.5ユーロ(約1,500円)。気軽にランチに行けなくなり、同僚たちもみんなタッパー持参です。IT系で給料は悪くないはずですが、日本円換算で年収1,000万円を超えていても、生活レベルは日本の年収550万円くらいの感覚です。夢を見すぎず、シビアに計算して来たほうがいいです。

 

物価高を乗り切るための節約術

スーパーの使い分け

ReweやEdekaといった高級スーパーではなく、Aldi, Lidl, Netto, Pennyといったディスカウントスーパーをメインに利用することで、食費は2〜3割抑えられます。特にPB(プライベートブランド)商品は安くて品質も悪くありません。

 

リサイクルボトルの活用(Pfand)

ドイツのペットボトルや缶には、0.25ユーロのデポジット(Pfand)が上乗せされています。これらをスーパーの回収機に返却すると、レシートが出てきて買い物代金から割引されます。これを捨ててしまうのは現金を捨てているのと同じです。

 

日曜日の強制節約

ドイツのスーパーやデパートは、日曜・祝日はすべて閉まります。これにより休日にショッピングモールでお金を使うという行動がなくなり、自然と公園への散歩や家での読書など、お金のかからない過ごし方が身につきます。

 

結論:十分な準備金とユーロ収入の確保を

ドイツでの生活費は、円換算で見ると非常に高額です。しかし、労働環境は守られており、有給休暇は年30日、最低賃金も時給約12.82ユーロ(2025年改定値参照)と高く、残業はほぼなしという時間のゆとりという対価があります。

 

2026年にこれから移住される方は、

  1. 初期費用として最低250万円の貯金
  2. ユーロで収入を得る手段の早期確保
  3. 自炊を中心としたライフスタイルへの切り替え

 

この3点を覚悟しておけば、ドイツでの生活は恐れるものではありません。まずは最初の3ヶ月を生き抜くための資金計画を、今のうちから綿密に立てておくことをお勧めします。

また、日本からいつでもお得に送金できるようにwiseのアカウントを作っておくのをおすすめします。

 


免責事項(Disclaimer)

本記事は2026年1月時点の情報および、1ユーロ=180円の換算レートに基づき作成されています。実際の物価、家賃相場、為替レートは変動する可能性があり、個人のライフスタイルや居住地域によって生活費は大きく異なります。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害についても、当サイトおよび著者は一切の責任を負いません。移住計画や資金計画は、ご自身の責任において慎重に行ってください。

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